名探偵カッレくん

カッレ・ブルムクヴィストは名探偵をめざす少年。毎日夕方前には町のパトロールにかかさず出かけ、顔の知らない人に出会えばその特徴をしっかり暗記。ポケットには『不審人物覚え書き』と書いた手帳をいつもしのばせています。友人のアンデスとエーヴァ・ロッタはそんなカッレにあきれ顔ですが、3人はとても仲良しなのです。
カッレたちが暮らしているのは、名探偵が活躍する事件なんて起きそうもない町。ところがそこに、見知らぬ男がやってきました。彼はなんとエーヴァ・ロッタのおじさんのエイナルだと名乗ります。ロッタのお母さんによって身元は証明されたものの、エイナルおじさんの行動には怪しい点ばかり。これこそ名探偵の出番だ!とカッレは張りきっておじさんの観察を始めるのですが……

やっぱりリンドグレーンはいいなあ。こういう探偵もの、わたしは大好きです。
主人公のカッレの家は食料雑貨店。お人好しのお父さんとおおらかなお母さんと暮らすカッレは、特別頭が良かったりスポーツができたり、ましてやお金持ちなんかでもありません。彼が誰にも負けないのは「探偵になるんだ!」という心意気。
エイナルおじさんの調査を一人で続ける一方で、大親友のアンデスとロッタとともに近所の人たちにサーカスを披露したり、『白バラ軍』を結成して『赤バラ軍』との戦争にだって参加します。(もちろん、赤バラ軍の連中ともお互い尊敬しあう友人同士なのです)
事件を解決するのは、地道な努力と、それに対してもたらされるほんのすこしの幸運。自分がけっしてなれないけれど憧れるスーパー探偵ももちろん魅力的ですが、わたしが大好きなのは断然カッレくんのほう。探偵ごっこや秘密基地づくりにわくわくしたことがある人なら楽しめると思います。ぜひぜひ、どうぞ。

名探偵カッレくん (リンドグレーン作品集)

名探偵カッレくん (リンドグレーン作品集)