ぶたのフレディ名探偵

  • ウォルター・ブルックス「ぶたのフレディ名探偵」童話館出版

ビーンさんの農場にはたくさんの動物が暮らしています。なかでもちょっと変わっているのがぶたのフレディ。読み書きがたっしゃな彼は自分の小屋に書斎までしつらえ、観光会社まで経営しているのです。最近夢中になっているのはなんと探偵。『シャーロック・ホームズの冒険』を読んで以来、毎日尾行の練習です。
初仕事は、ビーンさんの家で暮らすエバレットのおもちゃの貨物列車探し。フレディは首尾よく犯人をみつけだしたのですが……。

にわか探偵となったフレディ。農場のなかでの動物探しや物探しを請け負うご近所探偵さんかと思っていたら、大間違いでした。最初の事件である貨物列車の消失に続いては、子ウサギの失踪、そして人間界での凶悪事件まで名(迷)推理を披露して解決してしまいます。たまにうっかりをしでかすこともありますけど……。
頭でっかちで見栄っ張りかと思えば、どきっとするようなこともさらりと言ってのけます。

「なにか、かわいそうに思えることはないかと、あちこち、さがしまわる。ーそれが、いい子ぶるってことなんだ。いい気持ちで、なみだを流せるようにね。おばさんはべつに、やぎたちのことを気のどくがっていたわけじゃない。かわいそうに思う気持ちをたのしみたかっただけなのさ」(p.145)

言葉が通じない、農場の持ち主のビーンさんや地元の保安官もフレディに敬意持って接しているところがまた嬉しいのです。

「フレディがやったんだよ」保安官が、きっぱりといいました。「こんどの事件のてがらは、フレディひとりのものだ。むろん、犯人逮捕の賞金もふくめてな」(p.221)

「わたしの考えはどうかと聞かれたら、こう答えるしかあるまいな。ニューヨーク州がどんなに広いといっても、うちのみんなほど、すてきな動物なんか、ほかには見つかるもんかってね」

「ぶたのフレディ」シリーズは30冊近く書かれているそうです。探偵ものはこの作品だけかもしれないけれど、他の作品も読んでみたいな。