ミルトン屋敷の謎
- エニード・ブライトン「五人と一匹1 ミルトン屋敷の謎」実業之日本社
春休みのある夜、西の空が真っ赤になっているのを見つけたラリイは妹のデイジイと家を飛び出します。途中で仲良しのピップとベッツと合流して駆けつけてみると、燃えていたのはヒックさんの家の古い小屋でした。そこで彼らは黒い子犬を連れた見知らぬ少年に出会います。次の日、焼け跡を見にでかけようとした四人のところに昨日の少年が現れました。彼は昨日の晩、火事を起こした犯人の手がかりを掴んだというのです!彼ら五人と一匹は探偵団を結成し、犯人探しに乗り出しますが……
「火をふく小屋」のほか、「消えたシャムネコ」「ミルトン屋敷の謎」の三作品を収録。
ラリイはしっかりもののお兄さん。デイジイは行動派の女の子、ピップは機転がきくけどちょっとおっちょこちょい、いちばん小さなベッツは泣き虫だけど、いざというときはひらめきでみんなを救います。そして新しく彼らの仲間になったファットは頭がよくてちょっと生意気だけど優しい男の子で、相棒のバスターはてがかりを発見するにはかかせない存在。彼らによって結成された「五人と一匹」探偵団の奮闘ぶりを、最初から最後まで楽しむことができました。
探偵団のリーダーはラリイが務めていますが、事件解決にはそれぞれが個性を生かして活躍します。証拠集めや聞き込みも張り切ってやってしまうので、地元のお巡りさんである「どいとれ」さんとは何かと対立してしまいますが、ジェンクス警部という理解者に恵まれながらもむやみに彼らが持ち上げられたりはせず、きちんと警察の領分との線引きがされているところがわたしは好きです。(彼らが決して「どいとれ」さんが嫌いなわけではないところも!)
彼らの最初の事件となった「火をふく小屋」と「消えたシャムネコ」は犯人を突き止めるまでの過程(証拠集め、推理の組み立て)がとても丁寧に描かれていて読み応えがあり、「ミルトン屋敷の謎」は冒険もののわくわく感も楽しむことができます。彼らの活躍をもっともっと読みたくなってしまいました。良作です。
- 作者: エニード・ブライトン,三津村卓
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2002/12/01
- メディア: 単行本
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