だれが、ぼくの犬を殺したか

  • ロビー・ブランスカム「だれが、ぼくの犬を殺したか」評論社

1983年のエドガー賞受賞作品ということでチェックだけしていた作品。
すずるさんの感想を読んで俄然読みたくなってしまい、借りてきました。

自分の親友であった犬が何者かに殺され、少年は犯人を見つけだすことを誓います。少年と暮らしている三人の伯母は、みんなその犬を嫌っていました。少年は彼女たちのうち誰かが犯人に違いないと考えます。そして、証拠を掴もうと彼女たちのことを調べ始めるのですが……

主人公の少年、サスの視点で語られる物語にぐいぐい引き込まれてしまいました。疑惑、不安、怒り、悲しみ……小さなできごとや耳にしたたった一言で、少年の心は大きく揺れ動きます。その描写が本当に見事です。主人公と同年代であれば、まるで自分が彼のように思えてきてしまうかも。
『犯人探し』を通じて、彼は思いがけず自分の世界を見つめ直すことになります。とまどいと恐れ、そして喜び。

そして真相が明らかになった時、彼の世界は確かに変わったのです。


出会えたことに感謝したい、そんな本がまた一冊。
ぜひぜひ、どうぞ。